1.フローチャート式マニュアル作成の背景
フローチャート式マニュアルは、静岡県富士市の卸小売業へ、ISO認証取得支援で提案したもの。ISO審査登録機関の審査員から、「これは見やすい」との好評価を得ることができ、その内容については地元新聞社をはじめ、新聞各紙5社に掲載。(新聞記事→「2.pdf」をダウンロード)
世間では、ISOのために書類が増えて大変だとの声が多い中、今回の認証取得のために増えた書類は僅か。既に使用している書類をそのまま利用し、新な書類は、ISOで必要とされる最小限度の追加で済ますことに成功。この見やすく、理解しやすい「フローチャート式マニュアル」と「既存書類併用」を徹底利用する手法は、コンサルタント側から見ると、負荷が掛かるものの、顧客側にとってはシステム構築に費やされる負荷が軽減されるなど、メリットは大きいものであった。 ISOの認証は、殆どの企業が取得し、既に認証所得をした企業がこれを返上する現象も起こり始めています。認証状を返上した企業によると、「取得したが今迄と変わらない」し、「金が掛かる」、「余計な書類が増えた」、「サーベランスや更新時に仕事の負荷が掛る」、などと前向きな評価が得られず、厄介もののように言われ始めました。これはISOを取得した企業が、「マニュアル」を作成する時に「要求事項」の文章をそのまま使っていたり、「マニュアル」と「手順書」を分けていることが多いからなのでしょう。単純に今迄の仕事を上流から下流まで整理し、ISOの要求事項に則っているルールはそのままにし、そうでない「内部監査」などを追加する。その時に整理した仕事の流れに基づき、フローチャートに表したものを「マニュアル」に整理すれば良いだけのこと。従ってISOの要求事項(夫々の箇条)を忠実に記す必要がない上に、視覚に訴え、流れも眼で見て理解できるマニュアルが出来上がる。当然、「手順書類」は、「マニュアル」に含まれることとなり、新たに手順書の作成の必要もなくなる。これが、フローチャート式マニュアルの特徴と言えます。(参考までに地元紙「富士ニュース」に掲載された記事を紹介いたします。「090514.JPG」をダウンロード )
2.ISOを難しくしているのは、誰?
ISOを既に認証取得されている方々は、自分達のISOマネジメントシステムマニュアルが日本語とかけ離れた言葉が使われていることにお気づきでしょう。そして、社内でマニュアルが機能していないのではないでしょうか。また可笑しなことに、どの企業のマニュアルを見ても似かよっています。何故そうなったのでしょうか。これは、初期に認証取得した企業、それも大企業のマニュアルを雛型にして複雑に作成したり、あるいはコンサルタントや審査員がISOの要求事項の条文(箇条)を忠実にマニアルに記載させたり、したことにも起因しているのではないでしょうか。また、日本で導入し始めた頃の審査は、ISOマネジメントシステムの目的がどこにあるのか理解しないまま、審査員達がISOの要求事項の個々の条文(箇条)に忠実な審査をしていたことにも起因しているはず。そのために、マニュアルの記載で要求事項の文言が入っていないと、不適合にしたり、指摘事項を連発したり、していました。 … 未だにこのような審査員もいるようですが …。
3.通常業務をそのままマニュアルに
そこで私達は見やすく、理解しやすい、感性と視覚に訴えるISOマネジメントシステムマニュアルを提案致します。実は、ISO9001とISO14001のコンサルタントをしながら気が付いたことが有ります。 それは、指導中のことでした。顧客に対して作業手順を整理したり、補完していくことを決めたりする時のこと。如何に分かり易く説明するかで苦労しながら、顧客の業務の流れを整理するためにフローチャートを使い、理解を求めているうちに、そのまま説明に使ったフローチャートを手順書としてしまったのです。今迄は、変な日本語で記述したマニュアルの内容が、作成に携わった人達には理解できても、一般社員には理解し難く、何回も勉強会を実施。ところがフローチャート式手順書は、視覚と感性に訴えるものなので、改めて説明会や勉強会が不要になったことでした。その延長線でマニュアルを作成することとし、2008年11月に完成させ、実際にそのマニュアルで顧客が、ISO認証状を取得。審査機関の審査員からも、分かり易いと評価を受けました。一部の審査員でさえ理解できないISOの要求事項を簡単に視覚化し、仕事の仕組みを感性で体感できればISOマネジメントシステムのマニュアルも理解が容易になるのは明らかでしょう。これこそが、フローチャート式マニュアルなのです。
4.マニュアルは「視覚」と「感性」で
文章で訴えて理解してもらうには、読解力と注意力が必要でマニュアルの限界を感じています。文章で作られたマニュアルは、法律の条文を思い起こして頂けると、明確。法令の条文を見た方は、「・・・ 又は ・・・」、「・・・ 並びに ・・・」、「・・・ 若しくは ・・・」、「・・・ かつ・・・」、のような文章に出くわされることでしょう。文章だけで、内容を理解するのは大変な経験をされたことでしょう。そこで、一目で理解できる方法を考え、実施するようにしたものです。 マニュアルは会社のルールに則って業務の流れを整理し、今迄通りのルールを確認し、ISOの要求事項に則っている箇所を整理。その企業にISOで要求しているルールが無い時に話し合いながら、追加するようにしています。人は視覚や感性に訴えられると体感できることから、フローチャート式マニュアルの優位性がお分かり頂けたことと思います。それもそのはず、私は陶芸家をも、しています。(陶芸作品を紹介しますと → http://pottery-introduction-kubo.blogspot.com/)だから感性や視覚で感じることを大切にしながら、顧客と一緒になって学ぶことができるコンサルティングを心掛けてまいります。参考までに、 ISO9001&14001統合“フローチャート式マニアル”の一部を紹介しましょう。→ 「mokuhyo-katsudo.doc」をダウンロード )
(注) ISO(International Organization for Standardization):国際標準化機構:工業標準策定を目的とする国際機関。 各国の標準化機関が集まった連合体。1947年に設立。例えばフィルムに「ISO100」とか「ISO400」と表示されているが、国際規格のフィルムの感度のこと。どこの国でも同じフィルムが使えるのも、国際規格で統一 したから。なお、最近のデジタルカメラも同様に解像感度を表している。
(注) ISO9001とは、品質マネジメントシステムの規格。ISO14001とは、環境マネジメン
―――トシステムの規格を言う。ところで、略称が“IOS”でなく、“ISO”になっているのは、ギ
―――リシャ語の「等しい」もしくは「平等」を表しているからと言われている。しかし一方では、
―――プライドの高いフランス人が英語をそのまま略語として“IOS”にしたくなかったので、ギ
―――リシャ語の意味をとって、“ISO”とした説もある。
フローチャート式ISOマニュアル
視覚に訴え、体感できる一目瞭然のマネジメントシステム
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自己紹介
- Ceramic Artist / ISO consultant
- 学生のころ英国で、陶芸家バーナード・リーチ氏と出会い、陶芸をたしなむ。帰国後、全国公募展に多数入選。賞歴は、東京都知事賞をはじめ多数あり。その他には、銀座松屋や静岡伊勢丹で個展も実施。 新幹線新富士駅開設後、陶芸と会社勤めを両立するために東京都武蔵野市から、現在の静岡県富士宮市に移転。 久坊先生とは、建設会社に勤めていた頃、会社仲間が陶芸家としての名前が必要と付けたニックネーム。 さて私は、大学卒業と同時に建設会社(スーパーゼネコン)に入社。工事現場を経て、地域開発部に移り、都市開発、商業施設計画などを経験。そして、事業を実施する部門、エンジニアリング事業本部では工場計画等の他、新期事業の立ち上げにも寄与。その後、ISO管理責任者を務めたことにより、ISO審査員の取得をし、コンサルタントを開業。 コンサルタント先でISO認証取得の実績は、静岡県と山梨県でISO9001が3件、ISO14001が2件。